原著 The New England Journal of Medicine 2012 解析実務に直答 技術動向 原文精読済み

安定冠動脈疾患で FFR 陽性の狭窄に PCI を加えるか、薬物治療だけにするか — FAME 2 試験

Fractional flow reserve-guided PCI versus medical therapy in stable coronary disease

De Bruyne B, Pijls NH, Kalesan B, Barbato E, Tonino PA, Piroth Z, Jagic N, Möbius-Winkler S, Rioufol G, Witt N, Kala P, MacCarthy P, Engström T, Oldroyd KG, Mavromatis K, Manoharan G, Verlee P, Frobert O, Curzen N, Johnson JB, Jüni P, Fearon WF, FAME 2 Trial Investigators.

問い

安定冠動脈疾患で FFR が虚血を示す狭窄があるとき、PCI を加えると薬物治療だけより転帰は良くなるのか。

答え

FFR 0.80 以下の狭窄がある888例で、PCI を加えた群の死亡・心筋梗塞・緊急血行再建は4.3%、薬物治療だけの群は12.7%で、試験は早期に中止されました。差は緊急血行再建(1.6% と11.1%)によるもので、死亡と心筋梗塞には有意差がありませんでした。全狭窄が FFR 0.80 超だった群は薬物治療だけで3.0%でした。

当社の視点

造影で治療が要ると判断された患者の25%は、測ってみると虚血を起こす狭窄が1本も無かったという数値が、血流で評価する意義を最も短く示しています。この群は無作為化せずに薬物治療で追跡され、事故率は PCI 群と同程度に低いままでした。一方で、試験が示した利益は緊急血行再建の減少で、死亡と心筋梗塞の減少は示していません。顧客に FFR の意義を説明するとき、「虚血の無い狭窄を治療しない根拠」としては強く、「治療すれば命が救われる根拠」としては弱い、という区別を保って引用します。

扱う範囲

  • 01

    試験の設計

    欧州と北米の28施設で、PCI の候補となった安定冠動脈疾患の患者の全狭窄で FFR を測りました。少なくとも1本が 0.80 以下なら PCI+最適薬物治療と最適薬物治療だけに無作為に割り付け、全狭窄が 0.80 超なら登録研究として薬物治療で追跡しました。

  • 02

    早期中止

    目標1632例のうち888例を割り付けた時点で、主要評価項目の差が大きいとして独立委員会の勧告で登録を止めました。平均追跡は約7か月です。

  • 03

    差の中身

    緊急血行再建のハザード比は0.13でした。56例の緊急血行再建のうち、心筋梗塞を契機とするものが12例、心電図変化を伴う不安定狭心症が15例、臨床所見だけの不安定狭心症が29例でした。

  • 04

    FFR の数値と利益

    割り付けた患者の主要血管の FFR は平均0.68で、範囲は0.19〜0.80でした。FFR 0.65 未満の病変を持つ患者では、PCI の利益がより大きく見えました(交互作用 P=0.01)。

  • 05

    登録群

    造影で有意な狭窄があっても FFR が全て 0.80 超だった332例は薬物治療だけで追跡し、主要評価項目は3.0%でした。PCI 群との差は有意ではありませんでした。

FAME 2 の初回報告の値

項目値補足
登録 1220例 無作為化888例(PCI 447例・薬物441例)+登録群332例
FFR が全狭窄で 0.80 超だった割合 約25% 332例。造影では PCI の候補とされていた
死亡・心筋梗塞・緊急血行再建 4.3% と 12.7% PCI 群と薬物群。ハザード比0.32
緊急血行再建 1.6% と 11.1% ハザード比0.13
登録群の主要評価項目 3.0% 薬物治療だけ

いずれもこの論文が報告した値です(平均追跡約7か月)。

実務チェック

  • FAME 2 の利益を引用するときは、死亡と心筋梗塞ではなく緊急血行再建の減少であることを明記します。
  • 早期中止した試験は治療効果を過大に推定する傾向があることを、引用に添えます。
  • 割り付けが患者と医師に知らされていたため、血行再建の判断に偏りが入りうることを書き添えます。

この報告が扱わない範囲

  • 追跡が約7か月と短く、再狭窄の影響は見えていません。5年成績は別の報告です。
  • 径狭窄50%未満の病変は FFR を測っていません。
  • 最適薬物治療には、COURAGE 試験で行われた看護師による生活習慣の介入は含まれていません。

書誌情報

原題Fractional flow reserve-guided PCI versus medical therapy in stable coronary disease
著者De Bruyne B, Pijls NH, Kalesan B, Barbato E, Tonino PA, Piroth Z, Jagic N, Möbius-Winkler S, Rioufol G, Witt N, Kala P, MacCarthy P, Engström T, Oldroyd KG, Mavromatis K, Manoharan G, Verlee P, Frobert O, Curzen N, Johnson JB, Jüni P, Fearon WF, FAME 2 Trial Investigators.
掲載誌The New England Journal of Medicine(2012)
DOI10.1056/NEJMoa1205361
PMID22924638

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