FFR で選んだ狭窄への PCI の5年成績 — FAME 2 試験の長期追跡
Five-Year Outcomes with PCI Guided by Fractional Flow Reserve
FFR で選んだ狭窄に PCI を行った利益は、5年たっても続くのか。死亡は減るのか。
5年の死亡・心筋梗塞・緊急血行再建は PCI 群13.9%、薬物治療群27.0%で差が続きました。差は緊急血行再建(6.3% と21.1%)によるもので、死亡(5.1% と5.2%)と心筋梗塞(8.1% と12.0%)に有意差はありませんでした。薬物治療群の51%が5年までに PCI を受けています。
当社の視点
長期でも利益の中身が変わらなかった点が要点です。差は緊急血行再建で、死亡は同じでした。狭心症の軽減も3年までは PCI 群が優れていましたが、5年では差が消えています。同じ期間に薬物治療群の半数が PCI に移っており、割り付けどおりの解析では両群の差が薄まります。FFR 0.80 超で薬物治療だけを受けた登録群の5年の事故率15.7%は PCI 群と差がなく、虚血を起こさない狭窄は治療しなくてよいという判断は長期でも支持されました。
扱う範囲
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01
長期追跡の経緯
資金提供企業は3年で試験を終える判断をしました。研究者側の運営委員会が5年追跡を呼びかけ、28施設中19施設が参加しました。3年以降の事象は、割り付けを知らない試験外の循環器医2名が判定しています。
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02
5年の主要評価項目
PCI 群13.9%、薬物治療群27.0%(ハザード比0.46)で、長期で両群が近づく傾向はありませんでした。登録群は15.7%で、PCI 群と有意差はありませんでした。
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03
時期による違い
割り付けから7日以内のハザード比は2.49(手技に伴う事象)、8日〜3年は0.34、3〜5年は0.60でした。
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04
薬物治療群からの移行
薬物治療群の225例(51.0%)が5年までに少なくとも1回 PCI を受けました。割り付けどおりの解析では、死亡・心筋梗塞・狭心症に対する PCI の利益を過小に推定する可能性があると著者は書いています。
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05
形態と事象の関係
急性閉塞は軽度の狭窄から起こることが多く、高度狭窄の治療では心筋梗塞を防げないという通念に、結果は反するとしています。PROSPECT 研究の、狭い内腔と大きなプラーク量が将来の事象を決めるという結果を引いています。
FAME 2 の5年成績
数値で確かめる
| 項目 | 値 | 補足 |
|---|---|---|
| 死亡・心筋梗塞・緊急血行再建 | 13.9% と 27.0% | PCI 群と薬物群。ハザード比0.46 |
| 緊急血行再建 | 6.3% と 21.1% | ハザード比0.27 |
| 死亡 | 5.1% と 5.2% | ハザード比0.98 |
| 心筋梗塞 | 8.1% と 12.0% | ハザード比0.66。多重比較の補正後は有意でない |
| 登録群(全狭窄 FFR 0.80 超) | 15.7% | PCI 群とのハザード比0.88 |
| 薬物治療群で PCI に移行 | 51.0% | 225例 |
いずれもこの論文が報告した値です。
実務チェック
- FFR で治療を決める利益を説明するときは、5年でも死亡は同等だったことを併記します。
- 薬物治療群の半数が PCI に移行したため、割り付けどおりの解析の数値は両群の差を薄めていることを書き添えます。
- 5年の追跡は28施設中19施設に限られ、事象数が少なく統計的な精度に限界があることを踏まえて引用します。
この報告が扱わない範囲
- 早期中止によって当初予定の約半数で割り付けを終えています。早期中止は治療効果を大きく見せる傾向があります。
- 径狭窄50%未満の病変は FFR を測っておらず、近位部の30〜50%狭窄には FFR 0.80 以下のものが含まれうると著者は認めています。
- 割り付けは患者と医療者に知らされていました。
書誌情報
| 原題 | Five-Year Outcomes with PCI Guided by Fractional Flow Reserve |
|---|---|
| 著者 | Xaplanteris P, Fournier S, Pijls NHJ, Fearon WF, Barbato E, Tonino PAL, Engstrøm T, Kääb S, Dambrink JH, Rioufol G, Toth GG, Piroth Z, Witt N, Fröbert O, Kala P, Linke A, Jagic N, Mates M, Mavromatis K, Samady H, Irimpen A, Oldroyd K, Campo G, Rothenbühler M, Jüni P, De Bruyne B, FAME 2 Investigators. |
| 掲載誌 | The New England Journal of Medicine(2018) |
| DOI | 10.1056/NEJMoa1803538 |
| PMID | 29785878 |