原著 European Heart Journal 2015 解析実務に直答 原文精読済み

CT-FFR を検査の流れに組み込むと、不要な心臓カテーテル検査は減るか — PLATFORM 研究

Clinical outcomes of fractional flow reserve by computed tomographic angiography-guided diagnostic strategies vs. usual care in patients with suspected coronary artery disease: the prospective longitudinal trial of FFR(CT): outcome and resource impacts study

Douglas PS, Pontone G, Hlatky MA, Patel MR, Norgaard BL, Byrne RA, Curzen N, Purcell I, Gutberlet M, Rioufol G, Hink U, Schuchlenz HW, Feuchtner G, Gilard M, Andreini D, Jensen JM, Hadamitzky M, Chiswell K, Cyr D, Wilk A, Wang F, Rogers C, De Bruyne B, PLATFORM Investigators.

問い

侵襲的な心臓カテーテル検査を予定していた胸痛の患者で、代わりに CT と CT-FFR を行うと、検査の結果と安全性はどう変わるのか。

答え

欧州11施設584例で、カテーテル検査を予定していた群では、検査で有意な狭窄が見つからなかった割合が通常診療73.3%、CT-FFR 群12.4%でした。CT-FFR の結果を見てカテーテル検査の61%が中止され、中止した患者に90日以内の事象はありませんでした。非侵襲検査を予定していた群では差がありませんでした。

当社の視点

計算で求めた血流の指標が、診療の流れそのものを変えうることを示した研究です。結果の多くは、通常診療のカテーテル検査の73%(施設の目視判定では57%)が有意狭窄なしだったという、現状の非効率の大きさに由来します。一方、カテーテル検査に進んだ患者で血流の情報を持っていた割合は通常診療44.4%、CT-FFR 群97.4%で、血行再建の判断に血流の根拠を添えられた点も評価されています。無作為化ではなく、通常診療の群を先に登録してから CT-FFR の群を登録する逐次コホートの設計で、90日の追跡では臨床転帰の差を論じる検出力はありません。

扱う範囲

  • 01

    設計

    既知の冠動脈疾患がない中等度リスクの胸痛外来患者を、まず通常診療で、続いて CT/CT-FFR で登録する逐次コホートでした。各群を、登録前に予定していた検査(非侵襲検査か侵襲的造影か)で分けています。

  • 02

    主要評価項目

    90日以内の侵襲的造影で、中核検査室の定量造影で50%以上の狭窄がなく、かつ FFR 0.80 以下もない場合を「有意狭窄なし」としました。

  • 03

    CT-FFR の実施

    CT で30%以上の狭窄か、カテーテル検査に紹介される場合に、施設の依頼で中央解析しました。依頼の約10〜13%は画質不良か撮像の不備で完了しませんでした。

  • 04

    放射線被曝

    カテーテル検査を予定していた群では、90日の累積被曝が通常診療 9.4 mSv、CT-FFR 群 9.9 mSv で差がありませんでした。CT の被曝は平均 5.2 mSv でした。

  • 05

    非侵襲検査を予定していた群

    有意狭窄なしの割合は通常診療6.0%、CT-FFR 群12.5%で、有意差はありませんでした。

PLATFORM の主な結果(90日)

カテーテル検査を予定していた群で、検査を行って有意狭窄がなかった割合
数値で確かめる
項目値補足
対象 584例(欧州11施設) 通常診療287例・CT-FFR 297例
有意狭窄なしのカテーテル検査(予定侵襲群) 73.3% と 12.4% 通常診療と CT-FFR 群。差60.8ポイント
カテーテル検査の中止 61% CT-FFR 群で結果を見て中止
血流情報を持ってカテーテル検査に進んだ割合 44.4% と 97.4% —
90日の累積被曝(予定侵襲群) 9.4 と 9.9 mSv P=0.20
CT-FFR 依頼の未完了 10.4〜12.7% 画質不良または撮像の不備

いずれもこの論文が報告した値です。

実務チェック

  • CT-FFR の利点を説明するときは、効果の大きさが通常診療のカテーテル検査の非効率に依存していることを併記します。
  • PLATFORM は無作為化試験ではなく、90日の追跡で臨床転帰を論じる検出力がないことを明記します。
  • 依頼の約1割が画質のため解析できなかったことを、実運用の前提として伝えます。

この研究が扱わない範囲

  • 無作為化していない逐次コホートで、割り付けの偏りは傾向スコアの照合で補っています。
  • 90日の結果で、12か月の結果は別に報告するとしています。
  • 資金提供は HeartFlow 社で、同社社員が運営委員会に入っています。

書誌情報

原題Clinical outcomes of fractional flow reserve by computed tomographic angiography-guided diagnostic strategies vs. usual care in patients with suspected coronary artery disease: the prospective longitudinal trial of FFR(CT): outcome and resource impacts study
著者Douglas PS, Pontone G, Hlatky MA, Patel MR, Norgaard BL, Byrne RA, Curzen N, Purcell I, Gutberlet M, Rioufol G, Hink U, Schuchlenz HW, Feuchtner G, Gilard M, Andreini D, Jensen JM, Hadamitzky M, Chiswell K, Cyr D, Wilk A, Wang F, Rogers C, De Bruyne B, PLATFORM Investigators.
掲載誌European Heart Journal(2015)
DOI10.1093/eurheartj/ehv444
PMID26330417

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