実臨床で CT-FFR は治療方針をどれだけ変えたか — ADVANCE 登録研究
Real-world clinical utility and impact on clinical decision-making of coronary computed tomography angiography-derived fractional flow reserve: lessons from the ADVANCE Registry
冠動脈 CT で狭窄が見つかった患者に CT-FFR を加えると、実臨床の治療方針と短期の転帰はどう変わるのか。
欧州・北米・日本の38施設5083例で、CT-FFR を加えると中核検査室の判定で治療方針の66.9%が変わりました。侵襲的造影で有意狭窄がなかった割合は CT-FFR 0.80 以下で14.4%、0.80 超で43.8%でした。CT-FFR 0.80 超の1592例では90日以内の死亡・心筋梗塞はなく、心事故19例はすべて0.80 以下で起き、18例は0.76 未満でした。
当社の視点
計算した血流の指標が、二値の判定ではなく連続量として臨床判断に使われている実態を示した登録研究です。CT-FFR 0.80 以下でも血行再建を勧められたのは施設判定で34.4%にとどまり、0.71 未満では54%、0.76〜0.80 では13%が血行再建を受けていました。医師が数値の大きさと症状・病変の部位を合わせて判断していることを示しています。日本の施設が参加しており、提出された CT の画質不良による解析不能は3.2%でした。90日の追跡で事象数は少なく、中央の事象判定委員会も置かれていない点は限界です。
扱う範囲
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01
設計
CT で30%以上の狭窄がある安定した有症状患者を登録しました。施設医はまず CT だけで方針を決め、CT-FFR の結果を見て方針を決め直しました。中核検査室も同じ手順で独立に判定し、局所病変の2 cm 遠位で CT-FFR を読みました。
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02
方針の変化
CT だけでは追加検査が要るとされた2386例のうち、CT-FFR 後は70.0%が薬物治療、24.4%が PCI、2.1%が冠動脈バイパスに振り分けられ、追加検査は2.6%に減りました。CT で血行再建とされた患者の22.3%は薬物治療に変わりました。
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03
血管ごとの違い
左前下行枝は CT-FFR の中央値が0.79で、回旋枝0.88・右冠動脈0.87より低く、30〜70%の軽中等度狭窄で CT-FFR 陽性になる割合も55.3%と、回旋枝31.7%・右冠動脈27.3%より高くなりました。
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04
CT-FFR の数値と治療
0.05 刻みで見ると、CT-FFR が低いほど侵襲的造影と血行再建が多く、0.70 以下では73.8%が造影を受け、0.80 超では20.5%でした。多変量解析では、70%超の狭窄(オッズ比5.85)と CT-FFR 0.80 以下(5.88)がともに血行再建を予測しました。
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05
短期転帰
CT-FFR 0.80 以下の3145例で心事故19例(死亡10・心筋梗塞4・急性冠症候群による緊急血行再建5)が起き、0.80 超では死亡・心筋梗塞はありませんでした。
ADVANCE の主な結果(90日)
数値で確かめる
| 項目 | 値 | 補足 |
|---|---|---|
| 対象 | 5083例(38施設) | CT-FFR 解析4737例 |
| 治療方針の変更 | 66.9%(中核)・63.5%(施設) | CT だけの方針との比較 |
| 有意狭窄なしの侵襲的造影 | CT-FFR ≤0.80 で14.4%・>0.80 で43.8% | オッズ比0.19 |
| CT-FFR 陽性の患者 | 61.9% | 少なくとも1領域で0.80 以下 |
| 血行再建を受けた割合(CT-FFR 0.71 未満) | 53.7% | 0.76〜0.80 では12.6% |
| 90日の心事故 | ≤0.80 で19例(0.6%)・>0.80 で0例 | 19例中18例が0.76 未満 |
| 画質不良による解析不能 | 3.2% | 提出された CT に対する割合 |
いずれもこの論文が報告した値です。
実務チェック
- 計算した FFR を報告するときは、閾値の上下だけでなく数値そのものを示します。臨床判断は数値の大きさで変わります。
- CT-FFR を読む位置(局所病変の2 cm 遠位など)を明記します。
- 登録研究で中央の事象判定がなく追跡が90日であることを踏まえ、予後の主張は控えめに引用します。
この研究が扱わない範囲
- 登録研究で、紹介の偏りを除けません。CT-FFR がなかった場合の実際の治療は確定できません。
- 中央の事象判定委員会は置かれていません。
- 追跡は90日で、3年まで続ける予定としています。
- 資金提供は HeartFlow 社で、同社社員が共著者に含まれます。
書誌情報
| 原題 | Real-world clinical utility and impact on clinical decision-making of coronary computed tomography angiography-derived fractional flow reserve: lessons from the ADVANCE Registry |
|---|---|
| 著者 | Fairbairn TA, Nieman K, Akasaka T, Nørgaard BL, Berman DS, Raff G, Hurwitz-Koweek LM, Pontone G, Kawasaki T, Sand NP, Jensen JM, Amano T, Poon M, Øvrehus K, Sonck J, Rabbat M, Mullen S, De Bruyne B, Rogers C, Matsuo H, Bax JJ, Leipsic J, Patel MR. |
| 掲載誌 | European Heart Journal(2018) |
| DOI | 10.1093/eurheartj/ehy530 |
| PMID | 30165613 |