原著 The New England Journal of Medicine 2022 解析実務に直答 技術動向 原文精読済み

3枝病変で FFR ガイド PCI は冠動脈バイパスに並べるか — FAME 3 試験

Fractional Flow Reserve-Guided PCI as Compared with Coronary Bypass Surgery

Fearon WF, Zimmermann FM, De Bruyne B, Piroth Z, van Straten AHM, Szekely L, Davidavičius G, Kalinauskas G, Mansour S, Kharbanda R, Östlund-Papadogeorgos N, Aminian A, Oldroyd KG, Al-Attar N, Jagic N, Dambrink JE, Kala P, Angerås O, MacCarthy P, Wendler O, Casselman F, Witt N, Mavromatis K, Miner SES, Sarma J, Engstrøm T, Christiansen EH, Tonino PAL, Reardon MJ, Lu D, Ding VY, Kobayashi Y, Hlatky MA, Mahaffey KW, Desai M, Woo YJ, Yeung AC, Pijls NHJ, FAME 3 Investigators.

問い

左主幹部を含まない3枝病変で、FFR で病変を選んで PCI を行えば、冠動脈バイパスと同等の成績になるのか。

答え

1500例で1年の死亡・心筋梗塞・脳卒中・再血行再建は FFR ガイド PCI 群10.6%、冠動脈バイパス群6.9%(ハザード比1.5)で、PCI の非劣性は示されませんでした。死亡・心筋梗塞・脳卒中は7.3% と5.2%で有意差はなく、大出血・不整脈・急性腎障害はバイパス群で多くみられました。

当社の視点

FFR でステントを必要な病変に絞っても、3枝病変ではバイパスとの差を埋めきれなかった試験です。FFR が 0.80 を超えた病変は24%で、FAME の37%より少なく、測定できたのも82%の病変にとどまりました。FFR ガイドの利益は不要なステントを避けることにあるため、見送る病変が少ないと利益も小さくなると著者は考察しています。冠動脈バイパス群で FFR を測ったのは10%だけで、FFR でバイパスを導く利益は PCI ほど示されていないとも書かれており、グラフト設計の血流解析を扱う当社にとって、外科側の血流評価がまだ定まっていないことを示す材料になります。

扱う範囲

  • 01

    試験の設計

    48施設で、左主幹部を含まない3枝病変(各主要血管に目視50%以上の狭窄)を持つ1500例を、冠動脈バイパスと FFR ガイド PCI に割り付けました。非劣性の限界は途中でハザード比1.45から1.65に広げています。

  • 02

    PCI 群の FFR

    FFR を測れたのは82%の病変で、測れなかった主な理由は亜完全閉塞と完全閉塞でした。平均 FFR は0.70、治療予定病変の24%が 0.80 超でした。PCI 後の FFR は60%の病変で測り、平均0.88でした。

  • 03

    冠動脈バイパス群

    1例あたり遠位吻合3.4か所、97%で左内胸動脈を使い、25%で複数の動脈グラフトを使いました。術前に FFR を測ったのは10%でした。

  • 04

    1年の転帰

    主要評価項目は PCI 群10.6%、バイパス群6.9%で、非劣性 P=0.35 でした。個々の構成要素と、死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合には明らかな差はありませんでした。

  • 05

    SYNTAX 試験との比較

    造影ガイド PCI を用いた SYNTAX 試験と比べ、病変数は同程度でもステント本数は3.7本と4.6本、再血行再建は4.9% と13.5%でした。直接比較はできないと著者は断っています。

FAME 3 の主な結果

項目値補足
対象 1500例(48施設) PCI 757例・バイパス743例。SYNTAX スコア平均26
1年の死亡・心筋梗塞・脳卒中・再血行再建 10.6% と 6.9% PCI 群とバイパス群。ハザード比1.5
死亡・心筋梗塞・脳卒中 7.3% と 5.2% ハザード比1.4(95% CI 0.9〜2.1)
FFR 0.80 超の治療予定病変 24% FAME では37%
ステント本数と遠位吻合 3.7本と3.4か所 1例あたり
術前に FFR を測ったバイパス症例 10% —

いずれもこの論文が報告した値です。

実務チェック

  • FFR ガイドの利益を多枝病変に一般化するときは、3枝病変ではバイパスに非劣性を示せなかったことを併記します。
  • 冠動脈バイパスのグラフト設計を解析するときは、術前の生理学的評価がほとんど行われていない実態を前提に置きます。
  • 非劣性の限界が試験途中で広げられた経緯を踏まえて引用します。

この試験が扱わない範囲

  • 追跡は1年で、長期の差(遅発性心筋梗塞と再血行再建)は3年と5年の報告を待つとしています。
  • 血行再建の完全性、生活の質、費用対効果はこの報告に含まれていません。
  • 血管内画像を使った PCI は12%だけでした。
  • 左主幹部病変、最近の ST 上昇型心筋梗塞、心原性ショック、駆出率30%未満は除外されています。

書誌情報

原題Fractional Flow Reserve-Guided PCI as Compared with Coronary Bypass Surgery
著者Fearon WF, Zimmermann FM, De Bruyne B, Piroth Z, van Straten AHM, Szekely L, Davidavičius G, Kalinauskas G, Mansour S, Kharbanda R, Östlund-Papadogeorgos N, Aminian A, Oldroyd KG, Al-Attar N, Jagic N, Dambrink JE, Kala P, Angerås O, MacCarthy P, Wendler O, Casselman F, Witt N, Mavromatis K, Miner SES, Sarma J, Engstrøm T, Christiansen EH, Tonino PAL, Reardon MJ, Lu D, Ding VY, Kobayashi Y, Hlatky MA, Mahaffey KW, Desai M, Woo YJ, Yeung AC, Pijls NHJ, FAME 3 Investigators.
掲載誌The New England Journal of Medicine(2022)
DOI10.1056/NEJMoa2112299
PMID34735046

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