心周期にわたる3次元の速度場を一度に取得します。成人の血管で 2 mm³、定量用の時間分解能 30 ms。導入時は10例で 2D と比較し流量差5%以内が目安です。
4D Flow MRI は、心周期にわたる3次元の血流速度場を一度の撮像で取得する手法です。時間分解3次元位相コントラスト MRI という名のとおり、位相の差から速度を読み取ります。
強みは「撮ってから決められる」ことです。撮像時に断面を決めて流量を測る従来の 2D 位相コントラストと違い、後から任意の断面を置いて流量を出し、渦を可視化し、壁面せん断応力を計算できます。撮り直しが要りません。
何をどう撮ればよいか
2023年の国際合意声明に具体的な数値があります。
空間分解能は、成人の血管で 2 mm³(上限 2.5 mm³)、小児の血管で 1.5 mm³(上限 2 mm³)、新生児で 0.75〜1 mm³(上限 1.5 mm³)。全心臓を撮る場合は成人 2.5 mm³、小児 2 mm³。ここで言う分解能は取得分解能で、再構成後の値を性能として報告してはいけません。
時間分解能は、定量用途で 30 ms、上限 50 ms。可視化だけならこれより粗くても構いません。
VENC(速度エンコード)は、想定される最大流速の +25% 以内。部位ごとの目安は大血管 150、静脈 50〜80、心腔内 100〜150 cm/s。低すぎると折り返し(エイリアシング)が出て速度が読めなくなり、高すぎると遅い流れの精度が落ちます。
「使える状態」を自分で判定する
この声明がもっとも実務に効くのは、品質保証の節です。
導入時:健常者と患者を合わせて10例で 2D 位相コントラストと比較し、流量差5%以内を満たすこと。読影者内・読影者間の差も、1週間以上あけて再解析して5%以内。上行大動脈に2〜4面を置いたときの差も5%未満。
日常:症例ごとに質量保存の整合性を1組は確認する。左右肺動脈の和が肺動脈幹に一致するか、上大静脈と下行大動脈の和が上行大動脈に一致するか、といった組み合わせです。
やり直しの基準:逆流量が手法間で 15 mL または 10% を超えて食い違ったら、解析を見直す。
導入初期は 2D と 4D Flow を併記し、両チームが確信を持てるまで併用する、という推奨も付いています。
エイリアシングの確認は目視で
もう一つ実務的な指摘があります。収縮期と拡張期のピークで、3方向すべてのエイリアシングを目視で確認し、補正できない領域は流量解析から外す。
自動補正に任せきりにできない部分が残っている、ということです。
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撮り方の数値は揃いました。しかし「撮れる」ことと「臨床で使える」ことは別です。次の記事で、国際合意が指標をどう二分したかを見ます。当社が扱う指標の多くは、境界の向こう側にあります。