WSS の絶対値を左右する最大要因は血液粘度 入力のばらつきで 0.47〜1.33 Pa の幅
冠動脈 CFD に不確かさ定量を組み込む — 入力のばらつきは WSS のどこに効くか
Integrating Uncertainty Quantification into Computational Fluid Dynamics Models of Coronary Arteries Under Steady Flow定常流の患者個別冠動脈モデルで、粘度・速度・圧・密度のばらつきを確率分布として与えて伝播させると、WSS の空間中央値は 0.47〜1.33 Pa の幅で動きました。寄与は粘度が約 0.59、速度が約 0.40 で、この2つでほぼ全部。密度と圧はほぼ効きません。一方で高低の空間分布そのものは保たれました。絶対値の比較には慎重に、分布の比較には自信を持てる、ということです。
「文献の WSS 値と自分の結果が合わない」というご相談への、方法論側からの答えです。この文献は入力を1点の値ではなく確率分布として与え、多項式カオス展開で WSS のばらつきと寄与率を計算しています。実務的に効くのは、患者個別モデルで最大の寄与要因が血液粘度だったという点です。粘度は測定されることが稀で、たいてい文献の代表値が使われます。著者らはここに患者個別の測定を入れることが不確かさ低減の近道だと述べています。もう一つ重要なのは、WSS の値そのものは大きく振れるのに、高い場所と低い場所の空間パターンは保たれたことです。当社が指標の絶対値より分布・相対比較を勧める理由が、ここに数字で裏づけられています。