先天性心疾患の 4D Flow 後処理 — SCMR FLIICR ワーキンググループ推奨
4D flow cardiac magnetic resonance postprocessing in congenital heart disease: SCMR FLIICR workgroup recommendations
先天性心疾患の 4D Flow を日常診療に乗せるとき、解析ソフトに何を要求すべきか。
ボトルネックは撮像ではなく後処理。SCMR の14施設が「理想の解析ソフト」の要件を列挙した文書で、ソフト選定とベンダー交渉のチェックリストになる。WSS・渦度・エネルギー損失・圧力マッピングは「ルーチンではない」として対象外。
当社の視点
施設の手順ではなくソフトの要件を定めた文書です。当社にとって重要なのは対象範囲の線引きで、WSS・渦度・運動エネルギー・エネルギー損失・圧力マッピング・ヘリシティは「現時点でルーチンではない」として明確に除外されています。同時に、これらが研究から臨床に移る可能性を認め、新しい解析モジュールを追加できる設計にすべきとも書かれています。ソフト選定の要件表として、また当社製品が置かれている位置を確認する材料として読めます。
扱う範囲
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01
全般
PACS との安定した連携、DICOM の入出力、2D と 4D で共通の UI。ROI の1点を直すために全体をやり直さずに済む undo。普及のための無償基本版とレポート連携も要件に挙げています。
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02
位相オフセット補正
渦電流と concomitant gradient の補正は必須で、用いた手法を開示すること。通常は静止組織の補間(線形・多項式)。装置によってはファントムベースの補正が必要。2D と 4D で同じ手法を使うこと。
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03
VENC・折り返し補正
自動と手動の両方を用意し、折り返し領域をカラーで示す。ピクセル単位と全ボリューム一括の両方に対応し、ROI 設定の前後どちらでも切り替えられること。dual/multi-VENC データにも対応(Fontan で有用)。
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04
セグメンテーション
大血管だけでなく肺静脈のような小血管も。手動 MPR、中心線再構成は大動脈以外に MPA と左右肺動脈にも。3D レンダリングと MPR は必須。ROI 数に上限を設けない。拍動と面内外の動きに自動追従。ステントや人工物のアーチファクトは後処理では救えないと明記。
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05
弁追従
房室弁は面外運動が大きく逆流評価を妨げる。半自動の弁追従で精度と信頼性が上がるため、機能として備えるべきとしています。
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06
可視化
速度 MIP、パスライン、流線、ベクトル。血管起点ごとのパスライン表示。マグニチュード画像を AI で短軸・長軸に再フォーマットし、EDV・ESV から一回拍出量と EF を算出。修正後の Fallot や ccTGA のような非定型形態を想定し、スライス数と厚みを調整できること。
ソフトが出力すべき項目
| 項目 | 値 | 補足 |
|---|---|---|
| 流量 | net・順行・逆行 | mL/beat と L/min(または L/min/m²) |
| 逆流 | 逆流分画(%)・逆流量(mL) | |
| 併記する条件 | 5項目 | 心拍・VENC・最大流速・適用した折り返し補正・オフセット補正量 |
| 血管ラベル既定値 | 12箇所 | Asc ao/Desc ao/MPA/LPA/RPA/SVC/IVC・Fontan tunnel/Glenn/左右の上・中・下肺静脈 |
| Qp:Qs | 3経路で算出 | MPA÷Asc ao、(RPA+LPA)÷Asc ao、肺静脈還流÷(SVC+Desc ao) |
| 体肺比の別指標 | (SVC+横隔膜位 Desc ao)÷Asc ao | % で表示 |
| 肺血流分布 | RPA÷LPA、左右肺静脈還流比 | いずれも % |
| エクスポート | 表形式テキスト/xml/DICOM | ROI 位置と 3D 再構成も保存し、次回検査と同じ位置で比較できるようにする |
| 1検査のデータ量 | 500 MB〜4 GB | whole heart 1回で1万画像を超える。GPU かクラウドが前提 |
いずれもこの文書が要件として挙げた項目です。
実務チェック
- 2D と 4D で同じオフセット補正手法が使われているかを確認する。
- 折り返し補正が自動・手動の両方にあり、ROI 設定の前後どちらでも掛けられるかを確認する。
- 肺静脈のような小血管のセグメンテーションが実用に耐えるか、導入前に自施設のデータで試す。
- 房室弁逆流を評価するなら、弁追従を要件に入れる。
- ROI 位置と 3D 再構成が保存され、次回検査で同じ位置に置けるかを確認する。
この文書が扱わない範囲
- WSS・渦度・運動エネルギー・エネルギー損失・圧力マッピング・ヘリシティは「現時点でルーチンではない」として対象外。ただし将来の追加を見込んだ設計にすべきとしています。
- 撮像条件そのものは扱わず、2023年の合意声明に委ねています。
- 特定のソフトやベンダーを推奨するものではありません。
書誌情報
| 原題 | 4D flow cardiac magnetic resonance postprocessing in congenital heart disease: SCMR FLIICR workgroup recommendations |
|---|---|
| 著者 | Garcia J, Geiger J, Christopher A, Meierhofer C, Maskatia S, Raimondi F, Teo L, Uribe S, Sotelo J, Saengsin K, Suwa K, Zhong L, Tandon A, Rutz T. |
| 掲載誌 | Journal of Cardiovascular Magnetic Resonance(2026) |
| DOI | 10.1016/j.jocmr.2026.102789 |
| PMID | 42612801 |